VOL.8 2016年は「暫定リスケジュール期間」の終了年度になります

2ce6213bc167ef2b9de6f0ab82f01ac7_s皆様の記憶にまだあると思いますが、2009年12月に施行された「中小企業金融円滑化法(以下円滑化法)は2013年3月に終了しました。円滑化法が実施された期間中にリスケを実施した企業数は推計で40万社と言われております。
この40万社に対して、円滑化法終了後においては、業績の回復及び返済の道筋を示す準備期間として3年間の猶予期間が設けられていることをご存知の方は少ないと思います。この3年間の期間は「暫定リスケ期間」と呼ばれており、その期間においても回復のめどが立たない企業に対しては、市場からの撤退を余儀なくされると言われております。
2016年度は、まさにリスケ実施企業においては、正念場の年になるのです。
そこで、この1年をどのように対処していくのかのヒントをお話させて頂きます。

◆暫定期間中の最大のノルマは「営業利益の黒字化」にある
改めてリスケ実施企業が、リスケ期間中にやらなければならないことは以下の4点です。
①経営改善による収益力回復を図る
②手元資金の向上により借入に頼らない体力をつける
③安定かつ継続的な返済を行い、借入金の返済の道筋をつける
④金融機関とのコミュニケーションを図り、常に今後の対応を相談できるように管理体制の改善を図る
しかし、実際にやらなければならないことをきちんとできている企業は40万社のうち、1割程度と言われており、残りの9割の企業は「リスケ慣れ」になっていると見なされているのです。巷ではこの9割の会社を「ゾンビ企業」とも呼んでおります。
中小企業においては、この「暫定リスケ期間」の間には消費税増税、人手不足の加速化などの逆風も吹いておりますが、外部環境のせいだけにしていては事態は何も変わりません。自らの努力が伴わないと金融機関からの協力はもう終わると考えても過言ではありません。

◆では、具体的にどのような状態になればよいのか?
それは「営業利益の黒字化」が最低条件です。「営業利益」とはご存知のとおり「本業の利益」です。
つまり、本業の収益力の回復が見られない企業は
①市場から求められていない
②改善の努力の本気度が見えない
このような見方をされても致し方ないと思います。私のクライアントを見てみても、「リスケ慣れ」していると思われる経営者に共通しているのは「本気度が見えない=自分に甘い」ことです。

「市場からの退出」=「自己破産」を頭では分かっていながらも、やることは今までどおり、利益が上がらないのは他人のせいにしてしまう経営者が多いのです。先日、11月からご契約いただいた経営者から「今まで自分が甘かったと思います。取引先や社員に甘えていた自分と決別します」と私に言って下さいました。
精神論的のような話で恐縮ですが、ここに気づくが気づかないのかが大きな分岐点なのです。売上がまだあるということは、市場のニーズがある証拠です。それでも、利益が上がらない会社なのは何故か。
それは、「経営者自身が甘い」のではないかを、今一度振り返ってみてください。

◆返済圧力がさらに高まる
暫定リスケ期間ではリスケ先の企業の収益力の回復に対して銀行が猶予期間を与えていたのですが、暫定期間が終われば、次に求めるのは「返済」です。リスケ中では、例えば毎月10千円などの少額での返済にも対応していた銀行が、猶予期間終了となると、返済額の上乗せを要求してくる可能性は非常に高いと思われます。
当然ながら借入返済の原資の一番手は「利益」になります。前回、暫定リスケ期間中の最大のノルマは「営業利益の黒字化」とお話をしましたが、暫定リスケ期間終了後のノルマは「税引後利益」の確保になります。
つまり、返済の道筋をどう立てるのかが、大きなポイントになります。
とはいえ、リスケを実施すると新たな借入が難しい(決して不可能ではないですが)状況下で利益のみで返済を行っていくことは相当ハードルが高いものです。
「利益を確保」「手元資金をキープ」「返済の道筋を立てる」の3つの項目のバランスを取りながら経営のかじ取りを行っていかなければならないのです。
そのような状況下であって銀行から「返済額を増やしてほしい」と言われたとしても、「当社のキャッシュフローから出せる原資はいくらです」と自分から返済額の交渉をリードしていくようにすることが大切です。
リスケは、やもすると銀行に対して受け身になってしまいがちですが、逆に自らが主体的に動くことが成功の秘訣になります。

◆改善計画書の重要性はさらに高まる
リスケを実施している大半の企業は「実質債務超過」状態にあると思われます。
ただ、「債務超過」=「経営破たん状態」にあるとは言い切れず、資金繰りが回っていれば、経営は持続可能です。ただし、債務超過であれば、銀行融資のおける信用格付けは良くて「要注意先」悪ければ「破綻懸念先」以下にランクされてしまいます。
しかし、「実現可能な抜本的な改善計画書」があれば、信用格付けを「要注意先」に留めさせることが可能です。ただし、達成率が80%を実現できない数字は「評価されない改善計画書」とされてしまうことに注意してください。
そのためには、数字だけが先行するのではなく、きちんと改善可能な道筋のついた計画書が必要になります。税理士などに作成を丸投げすることなく、数字の作成段階から、経営者自身が積極的にかかわることで、説明する際に説得力を高めることが大事です。

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■■ 編集後記
ようやく新年会シーズンも終わりになってきていると思いますが、私も忘年会、新年会と多数のお客様からお声がけを頂き、合計16回の飲み会に参加していた事実に今気づきました(笑)
お声がけいただくことは非常に有難いことですが、肝臓をかなり酷使してしまったので、2月は『肝臓労り』月間にしようと思います。
アフターファイブの会話は、会社で話しづらい話をするチャンスです!
仕事のみならずプライベートな悩みも聞きながら経営者や社員との距離を縮めるいい機会ですので、肝臓も労わりつつ大切な場にしていきたいですね。


徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
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大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。

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