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VOL.22「リスケ中の金利に対する銀行の反応は千差万別」

今回のメルマガは「リスケ中の金利に対する銀行の反応は千差万別」についてです。

リスケ中に借入金利を軽減させ、軽減させた金利分を元金に加算することで、金利負担及び借入金額の返済ピッチを少しでも上げる話は以前させて頂きました。
経営努力を続けて黒字を続けているクライアントで、実際にあった金利軽減に対する銀行の対応について2つのケースを今回はお話をさせて頂きます。

◆ 前期比90万円増の黒字が計上出来れば、金利を下げますって??

このクライアントは、6年前からリスケを実施しておりますが、ここ3年連続で黒字計上の結果を続け、ようやく資金繰りの安定が図られてきた先です。
借入額が、まだまだかなり大きい(年商と同等規模)ことから支払利息負担額が年間9,000千円ほどもあり、金利負担の軽減は会社再建への必須条件になっていました。
メインバンクである某地銀に対しては、数年前から金利軽減の相談を行っていたのですが、黒字を3年続けたら検討しましょうと言われていたこともあり、今回約束を果たしたことで正式に打診をしてみました。

その結果、担当者からは、以下のように言われたのです。
「年間の金利軽減分(900千円)に相当する税引き後利益を前期比よりも増額計上できれば、金利をさげましょう」

この意味、皆さんは分かりますか?
どうやら「金利軽減分=黒字増額計上」が条件と言いたいようです。
このような条件を言われたことは初めてですので、何の意味なのか正直、分からないのが本音です。

では、税引き後利益が前期比1,800千円増と約束よりも倍の利益を出せば、金利の下げ幅も倍になるという意味かは分かりませんが・・・。

このような因果関係が分からない条件を出してくるケースもあるということを、皆さんも頭の片隅において頂ければと思いますが、要するに経営努力を重ねていれば、金利軽減の道は開けるということは間違いないと思います。

◆ 意地でも金利を下げない信金

もうひとつのケースは、黒字計上を5年も続けているのに、金利引き下げに応じない某信金のケースです。

こちらのクライアントも過去の設備投資に関する借り入れ負担が多く、利払いの軽減が必要な会社です。

メインの某信金には、3年前から企業の抜本的な再生を考えたい旨の相談を行うも、全く聞く耳を持たず、「黒字計上ができているので、政府系金融機関に借入の相談をしてみては?」などと他人行儀な話しかしてくれません。

準メインの某メガバンクでは、3年前に金利引き下げに応じてくれたにも関わらず、なかなか相談に乗る姿勢を見せてくれないのです。

では、なぜここまで頑なに金利引き下げに応じないのか?
あくまで推測ですが、要因にはクライアント自身の問題というよりも、この某信金を取り巻く、経営環境にも要因があるかもと思います。
調べてみると
1.マイナス金利環境での業務純益の低下
2.不良債権比率が高い
のふたつが理由にありそうです。

金利の引き下げは個別の銀行判断に委ねられることから、他の銀行に追随する義務はありませんが、ここまで何年も頑なに拒否されると、金融機関自身の経営環境に理由があるとしか思えないと言ってもいいでしょう。

今回の2つのケースのように、金融機関の対応や条件は様々です。
ただ、企業自身の努力により黒字計上を達成できれば、金融機関に対して「モノを言える立場」になれることをまずは念頭において頂くことと、金融機関の懐事情も交渉には影響してくる点を、今回は覚えて頂ければと思います。


徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
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大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。

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