前回は、運転資金を算出する式の科目の「売掛金」の見直しについてお話させて頂きました。
最終回の今回は「棚卸資産」の見直しのポイントについてお話させて頂きます。
▽「棚卸資産」はキャッシュの化身である!
「棚卸資産」の適正な持ち高はどのくらいか?
このテーマは非常に難しく「一般論」で話せる問題ではありません。
といいますのも、皆様が営んでいる事業は他社と完全に同じ事業がなかなかなく、他社との比較が難しいことが理由にあります。
よく「業界平均」値との比較を使いますが、それはあくまで「業界平均」であって、業界のなかでもさらに細かい「職種」がありますので、本来比較すべきは「職種平均」になります。
しかし、「棚卸資産」とは「キャッシュ」が倉庫にあることと同じです!
いかに「在庫=キャッシュ」を眠らせず、回転させ「在庫」=「キャッシュ」=「利益を稼ぐ源泉」とするのかがテーマになります。
と同時に運転資金を減らすためにも「在庫持ち高」をいかに減らしていくかを、それぞれの「職種」に応じて考えていくことが資金繰り改善に直結するのです。
▽「仕入」のかじ取りが生命線
製造業であれば「材料」、卸売業であれば「商品」などを仕入れて、製品や商品をもって販売することで売上が成り立ちます。
「この材料は長く使うものだし、大量に仕入れたほうが値引きできるから仕入しましょう」
「販売ロスをしたくないし、販売先の棚のスペースを確保したいから、多めに仕入れよう」
「売上ノルマがあるし、売上作るためにも商品仕入れないといけない」
「倉庫の在庫? これは売れないし、新しいもの仕入れていかないと」
これは仕入発注や、営業の気持ちを代弁したものですが、皆さんもこのような気持ちがあると思います。
しかし
「この材料は長く使うものだし、大量に仕入れたほうが値引きできるから仕入しましょう」
?本当に今後永続的に受注がある保証はあるのか?
?材料保管スペースが無駄にならないか?
「販売ロスをしたくないし、販売先の棚のスペースを確保したいから、多めに仕入れよう」
?販売ロスの前に「在庫を過剰に抱えるリスク」はないのか?
?「棚の確保」が前提にあって本当に「売上」を作れるのか?
「売上ノルマがあるし、売上作るためにも商品仕入れないといけない」
?「売上」を作るためには、いくらでも仕入れてもいいのか?
?「仕入れた商品」は全て売り切ったのか?
「倉庫の在庫 ? これは売れないし、新しいもの仕入れていかないと」
?昨日までに仕入れたモノは振り返らなくてよいのか ?
??鮮度が落ちた在庫の処理はどうするのか ?
このように見方を変えてみると、仕入を起こす担当者に対して、このような問いかけが必要です。
例えば「100の売上」を作るために「120の仕入れ」を起こせば、「粗利で▲200」となってしまいます。
商売とは例えば「100の売上」を「50とか70の仕入」で作るものです。
仕入れたモノが全て売り切れるはずはなく、仕入過剰によるコストをいかに認識させるかがポイントです。
「売上」だけに目がいってしまう企業の共通点は「在庫過剰」「仕入過剰」なはずです。(業績不振企業によくあるパターンです)
仕入単価が少し上がったとしても、今必要なものを必要な量だけ仕入れるようにしてみてください。
必ず粗利益は改善し、資金繰りの悪化が防げるはずです。
売上は下がったとしても「利益」と「キャッシュ」は溜まるように必ずなります!
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金融庁の銀行融資スタンスが徐々に変化し始め、企業の融資を取り巻く環境は大きな変革期を迎えています。
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2.脱日本型金融」のスタートは「事業性評価制度」にある
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4.金融庁の意向を金融検査マニュアルから読み解く
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徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
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