VOL.30「『P/L改善』よりも『B/Sの改善』が大事です!(その3)」

このテーマでのお話は今回で3回目になります。

前回は、運転資金を算出する式の科目の「売掛金」の見直しについてお話させて頂きました。
最終回の今回は「棚卸資産」の見直しのポイントについてお話させて頂きます。

 

▽「棚卸資産」はキャッシュの化身である!

「棚卸資産」の適正な持ち高はどのくらいか?

このテーマは非常に難しく「一般論」で話せる問題ではありません。
といいますのも、皆様が営んでいる事業は他社と完全に同じ事業がなかなかなく、他社との比較が難しいことが理由にあります。

よく「業界平均」値との比較を使いますが、それはあくまで「業界平均」であって、業界のなかでもさらに細かい「職種」がありますので、本来比較すべきは「職種平均」になります。

しかし、「棚卸資産」とは「キャッシュ」が倉庫にあることと同じです!

いかに「在庫=キャッシュ」を眠らせず、回転させ「在庫」=「キャッシュ」=「利益を稼ぐ源泉」とするのかがテーマになります。

と同時に運転資金を減らすためにも「在庫持ち高」をいかに減らしていくかを、それぞれの「職種」に応じて考えていくことが資金繰り改善に直結するのです。

 

▽「仕入」のかじ取りが生命線

製造業であれば「材料」、卸売業であれば「商品」などを仕入れて、製品や商品をもって販売することで売上が成り立ちます。

「この材料は長く使うものだし、大量に仕入れたほうが値引きできるから仕入しましょう」

「販売ロスをしたくないし、販売先の棚のスペースを確保したいから、多めに仕入れよう」

「売上ノルマがあるし、売上作るためにも商品仕入れないといけない」

「倉庫の在庫? これは売れないし、新しいもの仕入れていかないと」

これは仕入発注や、営業の気持ちを代弁したものですが、皆さんもこのような気持ちがあると思います。

しかし

「この材料は長く使うものだし、大量に仕入れたほうが値引きできるから仕入しましょう」

?本当に今後永続的に受注がある保証はあるのか?

?材料保管スペースが無駄にならないか?

「販売ロスをしたくないし、販売先の棚のスペースを確保したいから、多めに仕入れよう」

?販売ロスの前に「在庫を過剰に抱えるリスク」はないのか?

?「棚の確保」が前提にあって本当に「売上」を作れるのか?

「売上ノルマがあるし、売上作るためにも商品仕入れないといけない」

?「売上」を作るためには、いくらでも仕入れてもいいのか?

?「仕入れた商品」は全て売り切ったのか?

「倉庫の在庫 ? これは売れないし、新しいもの仕入れていかないと」

?昨日までに仕入れたモノは振り返らなくてよいのか ?

??鮮度が落ちた在庫の処理はどうするのか ?

このように見方を変えてみると、仕入を起こす担当者に対して、このような問いかけが必要です。

例えば「100の売上」を作るために「120の仕入れ」を起こせば、「粗利で▲200」となってしまいます。

商売とは例えば「100の売上」を「50とか70の仕入」で作るものです。

仕入れたモノが全て売り切れるはずはなく、仕入過剰によるコストをいかに認識させるかがポイントです。

「売上」だけに目がいってしまう企業の共通点は「在庫過剰」「仕入過剰」なはずです。(業績不振企業によくあるパターンです)

仕入単価が少し上がったとしても、今必要なものを必要な量だけ仕入れるようにしてみてください。
必ず粗利益は改善し、資金繰りの悪化が防げるはずです。

売上は下がったとしても「利益」と「キャッシュ」は溜まるように必ずなります!

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金融庁の銀行融資スタンスが徐々に変化し始め、企業の融資を取り巻く環境は大きな変革期を迎えています。
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金融庁では、こうした現状を打破するため、従来の「決算書依存」型の融資からの“脱却”を意図した政策転換を図っていくことを昨年10月の金融行政方針において決定しました。
そこで、金融庁が目指す“脱日本型金融”とは何か。銀行融資の概念を変える有利な運転資金の調達法をわかりやすく解説しました。

[収録内容]
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2.脱日本型金融」のスタートは「事業性評価制度」にある
3.運転資金の種類と返済原資を理解する
4.金融庁の意向を金融検査マニュアルから読み解く
5.これからの運転資金の調達方法
6.最近、力を入れている「ABL」とは何か
7.保証協会借入が大きく変わる!
8.企業の成長ステージに応じた調達戦略とは

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徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
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大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。

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