月別アーカイブ: 2015年9月

VOL.3 返済額を決めるのは銀行ではない

6d2e8729ff7426c41ea800798bee86ac_sリスケジュールをスタートさせると、半年ごとや1年ごとに返済額の見直しを行うのが一般的です。リスケ後の毎月の返済額はどのように決めたらよいでしょうか?自らの計算根拠をもって銀行に提示をしていますか?それとも銀行の言う通りの返済額にしているでしょうか?

今回は、「自ら根拠をもった金額を提示する意味」をお話します。

返済額の根拠はキャッシュフローにある

リスケジュールすると原則として新たな借入はできまません。(原則というのは、決して不可能ではないという意味です。リスケ中の新規借り入れについての話はまた改めてさせて頂きます)
新たな借入ができない以上、返済額を創出するのは本業の利益=キャッシュフローになります。キャッシュフローの算出方法は多々ありますが、一番分かりやすいのは資金繰りを組んでみることです。

一般的には営業キャッシュフローと言われますが、「売上入金」-(「仕入原価の支払い」+「固定費の支払い」+「利息の支払い」)で算出されるものです。
つまり本業の資金繰り利益になります。このキャッシュフローが黒字化されないと、返済を行っていっても手元の資金が減少していくだけです。となると、返済に回せる原資は「ゼロ」なはずですから、この間は元金の返済を行わないのが債務者側の策になります。

次に、営業キャッシュフローが黒字になったケースですが、キャッシュフローを全額返済に回してしまうと、新たな借入ができない以上、設備投資や修繕、人件費の増加に対応する資金が足りなくなってしまいます。
そこで、まずは、生み出すキャッシュフローの50%を上限として返済計画を組まれることをお勧めします。

自ら銀行に提示すること

さきほど、お話した通り、返済額を決めるのは銀行ではなく、債務者側が考えることです。企業経営を継続させながら、「持続的かつ安定的な返済」を実行するためにも、無理な返済計画を組んでも資金繰りがショートしてしまうのは明白です。銀行に資金繰りを読む力は乏しいと思いますので、きちんと自らが資金繰り計画のもとで、返済額を提示することが大切です。

銀行から提示された場合は根拠を聞くこと

債務者側から返済額の提示がない場合には、銀行から希望額の提示がきます。その際には、なぜこの金額になるのかの根拠をきちんと聞いてください。というのも、銀行側の提示額には明確な根拠が乏しいケースがほとんどです。
銀行の提示するケースが以下のようなものがあります。

1) 返済期限を延長していないことから、残りの返済回数で単純割りして返済額を出すケース
2) 稟議を通しやすいように感覚的な金額を提示してくるケース
3) キャッシュフローの全額を返済に回させるケース

などなど、債務者側からすると不利になるような提示をしてくることがあります。

もちろん返済の義務はありますが、無理のない返済を持続させるためにも、返済額の根拠はご自身で考えることがリスケ中には不可欠です。

 


徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
写真_s
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。

(株)スペースワン
http://financial-advise.net/
金融税理士アドバイザー講座
http://finance-zeirishi-adviser.com/