卸売・小売業での悩みどころのひとつに「売上ロス」を恐れるために、仕入を過剰に行ってしまうケースがよくあります。
今回は、営業・仕入れ担当者にどのように「過剰在庫」リスクを教えたらよいのかについて、実体験をもとにお話をさせて頂きます。
特に、「資金繰りが厳しい」中小企業においては、「在庫」=「お金」の意識が欠落しているところも多く、社員教育に悩んでいる経営者も多いと思いますので、少しでもヒントになればと思います。
▽営業担当者は「売上」を上げることに頭がいってしまっている
営業担当者の立場で考えてみると以下のような思考に陥っている人が多いと思われます。
・販売機会ロスは絶対に起こしたくない
・売上ノルマは達成しないといけない
・販売店からの「棚」の場所を確保しなくてはいけない
・売れ残り在庫は上司が何とかしてくれる
つまり、「社内の営業ノルマ」と「販売店からのプレッシャー」の狭間にいるのです。となると、販売ロスを防ぐために、「仕入」は常にしていかないといけない気持ちになります。
ただし、その仕入れた商品が100%売り切れるのかどうかは別の問題になります。
▽「在庫は1年かけて売ればいい」ではない
仕入を過剰にしてしまった営業担当者の言い訳で多いのが「この商品は1年かけて売れば在庫はなくなりますよ」の言葉です。
果たして、本当に1年後には在庫は売り切れるでしょうか?
1年後までその商品の人気が継続しているかどうかも分かりませんし、値段も1年後までその値段が継続できるかどうかも分かりません。
また、季節性が高い(気象条件に左右される)、世の中の流行に左右されやすい(流行の時期はほんの一瞬です)商品だと、なおさら読めないものです。
極端に言えば、営業担当者は「その場の売上」が確保できれば、あとの在庫のことは「もう忘れた」と言ってしまう人が多いとも言えます。
▽「売上ロス」と「仕入抑制」どちらが会社のためになるか
「粗利20%取れる」商品を「100」仕入したとします。
(在庫は不良在庫となったと仮定し、その後値引きで売上を作ることや、販売店での棚がなくなるマイナス要素はないとします)
1.仕入を「100」して、その結果、「40」の在庫が売れた。
(60は残ってしまった)
仕入支払い ▲100
商品売上 +48(粗利20%加算)
差引 ▲52
2.仕入を「50」して、その結果、「10」の在庫が売れた。
(40は残ってしまった)
仕入支払い ▲50
商品売上 +12(粗利20%加算)
差引 ▲38
3.まったく仕入をしなかったとして、確実な売上「40」に対する粗利ロスが発生した。
仕入支払い 0
粗利ロス ▲8(40の売上に対する粗利「8」をロス)
差引 ▲8
分かりやすいパターンで並べてみました。
1と3を比べると、売上「48」は作れませんが、資金繰り的には「44」のお金が確保できることになります。
1と2を比べると、売上は「36」下がることになりますが、資金繰り的には「14」のお金が確保できることになります。
「売上作らないと話にならない」でしょう!
という意見はもちろんありますが、大事なのは「在庫=お金」である意識をどれだけ持たせられるかです。
売上ばかりに気を取られることで、過剰な仕入れコストを発生させない意識をいかに持たせるかが中小企業には大切になります。
売上ばかりを追わない勇気も営業には必要だということを教育するきっかけに少しでもお役に立てて頂けたらと思います。
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