世の中は夏のボーナス支給時期にきておりますが、リスケジュールを実施している企業から、この時期に多い質問が「ボーナスを出してあげたいけど、銀行から文句は出ないだろうか?」といった内容です。今回は、ボーナスを出す際に、銀行にどのような説明をしたら良いのかについてお話をさせて頂きます。
◆まずは、ボーナスの基本的な考え方に立ち返ること
ボーナスの考え方にはいろいろありますが、原則的には「過去半年間の業績に対しての利益を還元する」ことだと思います。従業員が努力して成果を出したのであれば、その労に報いることは経営者として当然の考え方だと思います。
また、ここ近年の「ヒト不足」「ベア引き上げ」の流れ等を見ると、従業員も処遇に対する感覚がシビアになってきており、処遇が悪ければ、他社に転職してしまうといった心配も尽きません。
さらに、リスケをしていれば、銀行に返済を猶予してもらっているのに、ボーナスを出していいのか?といったジレンマにも陥っている方もいいと思います。
しかし、業績が回復してきているのであれば、金額は別にしても、経営者の姿勢として少しでも従業員に還元はすべきと考えます。
◆銀行への説明をどのように行えばよいか?
では、実際にボーナスを支給した後で、銀行への説明の方法ですが、以下のような話をしてみるといいでしょう。
1.ベアを我慢してもらっていることから、業績連動にて成果が出ていれば、還元をする経営方針であること
2.社員の士気や他社への流出を防がないと、新たな人材をすぐに採用できる環境ではないこと
3.あくまで業績連動の考えであり、赤字転落の場合には支給の有無を別途検討する考えである
このように銀行に話をしてみれば、杓子定規に「ボーナスはダメです」とは言わないはずです。
ただし、あくまで、業績回復の努力の痕跡を残していることが前提です。経営者としての考えや姿勢がしっかりしていれば、銀行も納得してくれるはずでしょう。
ボーナスを支給する時は、もちろんのことですが、残念ながら支給できない時にも、なぜ支給できるのか?なぜ、支給できないのか?については、従業員に説明をきちんとするべきです。
「会社の苦しい状況は、説明しなくても分かっているだろうから」と何も言わないで、支給しない状況を続けていれば、従業員の心はどんどん離れていくことになります。仮に支給できない時には、「どういった状況になれば支給できるのか」について、分かりやすい目標値を示してあげることが大切です。従業員も「どこまで頑張ればよいのか?」「いつになったら支給してもらえるのか?」「家族にはどう話したらいいのか」などと考えるのは当然です。
「従業員はわかってくれているはず」と勝手に決める付けることなく、必ず説明をする機会を作りましょう。
銀行にしても、従業員にしても、「普段のコミュニケーション」があれば、解決の糸口は必ず見つかるはずです。
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徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
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