月別アーカイブ: 2017年7月

VOL.26「借入した直後にリスケを申し出していいのか?」

資金繰りが厳しい状況で何とか借入はできたものの、やはり当面の資金繰りの厳しい状況が解消せず、追加の借入も難しい状況の中で、やむなくリスケジュール(以下リスケ)を考えざるを得ない場合、借入してどのくらいの期間を空けたらよいのでしょうか?

今回は、銀行への心象を害さないリスケ申し出のタイミングについてお話をさせて頂きます。

◆直近の借入から何ヵ月空けるのが常識的なのか?

結論から言うと、「明確な答えはない」になります。
ただ、常識的に考えて、借入をして一回も返済をしないでリスケの申し出をしたら、それは「悪質かつ計画的」と思われてもやむをえません。(ただし、天変地異や代表者が倒れたなどといった予測不可能なことが起きた場合は別です)

では、返済を何回したらよいのかについても1回だけじゃ足りない、3回はすべきなどと感覚的な話になってしまいますが、大事なのは、「借入をする時に、どういう考えで借り入れをしたのか?」です。

借入をした際には、運転資金として商品を仕入れて、このくらいの売上を上げる考えがあったとなどの前向きな意味での「生きカネ」にするつもりがあったのかが問われます。
一方、「ただ何か月か資金繰りがもてばいいし、ダメならリスケする」といった消極的な意味での「死にカネ」にしてしまえば、融資は何のためだったのか?と言われるでしょうし、借入時点での資金繰りがどうなっていたのか?など説明する必要が出てきます。

私の経験では、借りて一回も返済をしないでリスケを申し込んだクライアントがいましたが、予想通りリスケに至るまでにはかなりの時間と説明を要する結果となってしまい、「詐欺」といった言葉も言われてしまう始末でした。

(詐欺の言葉の是非はともかく、銀行として一度も返済を受けない融資がリスケになれば銀行担当者としても相応の説明義務を負ってしまうからです)

 

◆新たな融資を受けない勇気も必要

では、仮に融資を受けたとしても、目先3か月後の資金繰りが回らなくなり、かつ追加の融資が期待できない事態が予想されている場合にはどうしたらよいでしょうか?

その際には、毎月の返済金額と営業キャッシュフローとの対比で考えることがポイントになります。

例えば

銀行返済が  年間12百万円

営業キャッシュフローが  年間 1百万円

の場合を考えてみましょう。

営業キャッシュフローが黒字だとしても年間の返済額に届かなく、かつ財務内容的に追加の借入が難しい場合には、リスケジュールを選択すべきでしょう。当然ながら営業キャッシュフローが赤字であればなおのことです。

仮に5百万円の融資が可能ですと提案を受けたとしても、上記の例を考えると

返済額  ▲12百万円(5百万円分の返済もさらに加算されてきます)

営業CF  + 1百万円

融資   + 5百万円

差引   ▲ 6 百万円

 

となります。手元資金が6百万円減ったとしても、1年回せるだけの資金繰りが組めるのではあれば、リスケの判断を遅らせるのもひとつですが、手元資金がもう足りない状況になるならば、敢えて新規借り入れをしない勇気も必要です。

 

5百万円の新規融資を受けない場合は

返済額   0(当面1年間返済額を0にします)

営業CF  +1百万円

差引    +1百万円

ふたつを比較すると手元資金が減るのか増えるのかが大きな差になってきます。

もちろん、リスケを全面的に推奨しているのではありませんが、冷静に資金繰りを検証して、「借りない勇気」も経営判断としては大切だということを分かって頂ければと思います。

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徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
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大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
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