新規のクライアントから、リスケジュール(以下リスケ)を申し出したら、メインバンクから「社長の自宅を担保に入れてください」と言われてどうしたら良いか?との相談がありました。
今回は、リスケをすると持ち家は担保に差し出さないといけないのかどうか、そしてその際にはどうように銀行に対応したらよいのかについてお話させて頂きます。
◆なぜ、追加で担保を入れてほしいのか
リスケを申し出すると、企業の信用格付けは見直しとなり、基本的には「要注意先」にランクダウンすることになります。(リスケ申し出前が正常先であると仮定すると)
正常先→要注意先にランクダウンすると、
銀行では貸倒引当金を積み増すことになるので、銀行にとってみれば、コストアップになります。それを防ぐためにも「無担保部分」の融資残高を減らすためにも「追加担保」をお願いする流れは、銀行から見れば自然とも言えます。
◆リスケの原則は「全行平等の原則」がある
今回のクライアントの場合は、複数の銀行との取引があります。メインバンクの「自宅を担保に」の要求を仮に受け入れてしまったら、他の銀行はどう反応するでしょうか?
「なぜメインだけに担保を入れるのですか?」
「メインと同様にうちの銀行にも担保をお願いします」
「メインだけを優遇するのであれば、リスケには応じられません」
このような反応がでてくるはずです。
リスケジュールには「全行平等の原則」があります。
リスケ申し出以降、特定の銀行だけに条件を優遇してしまうことは、他行の足並みを乱すことに繋がります。
たとえば追加担保以外にでも
①メインだけ返済額を多くしてしまう
②メインだけプロパーを返済してしまう
③メインだけ金利引き上げに応じてしまう
などの条件面での個別優遇はリスケでは決してやってはいけないことなのです。
◆自宅を担保に入れないための対応はどうしたらよいか
では、自宅を特定の銀行だけに担保をいれないための回答は
「自宅を全ての銀行に対して平等に担保権をいれるわけにはいかないのでお断りします」と対応してください。
つまり、さきほどお話した「全行平等の原則」を貫くことです。仮に担保を差し出すのであれば、根抵当権(抵当権のケースもある)を全ての銀行の残高に応じた按分にて同順位でつけなければなりません。
リスケを申し出ると、個別の銀行ごとにそれぞれ要求してくる条件が多岐にわたることもありますが、「平等の原則」というひとつのルールを守ることが、企業経営を守ることにも繋がることをよく念頭においてください。
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■■ 編集後記
先日、ネットバンキングの利用率はどのくらいか? の記事を目にしました。
メガバンクでは31%、地方銀行では8%(信金ではさらにそれ以下でしょう)の数字が出ていましたが、皆さんはこの数字をどう感じますか?
今、「デジタルバンキング時代」に向けて、大きく金融サービスが変わろうとしておりますが、私たち消費者の利用は、理想とはまだかなりかけ離れていると言えます。
ただし、時代は「金融テクノロジー時代」の波がきており、私たちは乗り遅れる訳にはいきません。まだまだ普及には時間がかかる、うちには関係ない などの考えでは時代の流れに取り残される事と思います。
私は「アナログ人間」と自覚しておりますが、「iPhone」が出た時に、すぐに機種変更してしまいました。
その時の私の頭にあったのは「今触っておかないと、時代遅れになってしまう」という実は危機感からでした。
数字やお金に携わる皆様におかれましても、このデジタルバンキングの流れを他人事と思わずに、「まずは触ってみる」の意識を持たれることを強くお勧めいたします。
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既に9期生を終えまして、6年目に突入する来年から、講座のプログラムをより実
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http://finance-zeirishi-adviser.com/
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これまでの「経営改善計画」業務よりも簡易な「事業計画書」の策定を認定
支援機関が支援し、作成料の3分の2(上限20万)を補助する制度です。
1.金融機関から事業計画書の提出を求められている先
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など、全ての零細・中小企業が対象になります。
計画書の書式例はこちらに乗っていますが、これまでの「改善計画書」の
3分の1程度のボリュームですみます。
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りますので、是非本制度をご利用のうえ、実績をつけて頂くことをお勧めし
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「金融庁が目指す“脱日本型金融”とは? 顧問先にすぐ使える新たな資金調達
方法 [DVD] 」が発売されました!
「商品の説明」
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大きな変革期を迎えています。顧問先の中には、成長性があるにも関わらず、銀
行が担保にこだわるあまり、十分な融資を引き出せず、結果として資金繰りに苦
労されている関与先も少なくないのではないでしょうか。
金融庁では、こうした現状を打破するため、従来の「決算書依存」型の融資か
らの“脱却”を意図した政策転換を図っていくことを昨年10月の金融行政方針に
おいて決定しました。
そこで、金融庁が目指す“脱日本型金融”とは何か。銀行融資の概念を変える有
利な運転資金の調達法をわかりやすく解説しました。
[収録内容]
.脱日本型金融」の主なポイント
2.脱日本型金融」のスタートは「事業性評価制度」にある
3.運転資金の種類と返済原資を理解する
4.金融庁の意向を金融検査マニュアルから読み解く
5.これからの運転資金の調達方法
6.最近、力を入れている「ABL」とは何か
7.保証協会借入が大きく変わる!
8.企業の成長ステージに応じた調達戦略とは
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3月7日より、幻冬舎ゴールドオンラインのサイトにて、昨年、監修させて頂いた
「会社の資金繰り 絶対やるべきこと 知っておくべきこと」の一部が、15回
の連載で掲載されております。
毎週火曜日に掲載されますので、まだ目にしていない方は、無料ですので、是非
ご覧になって頂けたらと思います。
以下のサイトよりご覧になれます!
http://gentosha-go.com/articles/-/8351
徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
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