資金繰りが窮している「再生ステージ」にある企業においては、当然ながら「損益の黒字化」が必要なのですが、それ以上にB/Sの改善つまり「B/Sのスリム化」が重要になってきます。
頭では皆さんも分かっていると思いますが、経営者や会計事務所、銀行の目線は、どうしてもP/Lばかりに目がいってしまいます。
私の仕事は「資金繰りの改善」にフォーカスを当てていますが、資金繰りの分析は実はB/Sとの睨めっこなのです。
今回は、「B/S改善」のポイントについてお話をさせて頂きます。
▽必要な「運転資金」以上の借入をしているのでは?
B/Sは左側の「資産」と右側の「負債・自己資本」は同じ金額でバランスしております。
では、右側の負債(特に他人資本である有利子負債)が左側の資産の何に見合っているか?が一番大切です。
まずは、事業を営むに必要な運転資金は「売掛金」+「棚卸資産」-「買掛金」の算式で一般的に出てきますが、この必要な資金を銀行借り入れなどで賄っているはずです。
例えば、上記の運転資金の公式で「10,000千円」の数字が出たとします。そうすると、借入は10,000千円あれば済むのですが、借入は20,000千円あったとしたら、そのお金は左側の資産のどこにいっているのか?を見るのです。
工場や設備がある会社であれば、固定資産になっているケースもありますが、設備がほとんどない会社であったとしたら、余剰分の10,000千円の借入は「現預金」にあるのが普通です。
ただ、現預金に10,000千円もないとしたら
1.過去の赤字分を埋めている
➡右側の「自己資本が食われて」おり、「累積赤字」がある
2.投資等の科目に化けている(保険積立金や子会社への出資金)
➡役員保険や有価証券への投資がある
3.お金の使途が不明瞭になっている
➡お金の使途が分からないので「仮払金」「貸付金」「現金」の科目にやむなくなっている
4.棚卸資産が間違っている
➡帳簿上よりも実際には多い在庫を抱えている可能性
このように1~4のような可能性が考えられます。(他の可能性もあります)
もし1~4のいずれかに該当していると、「事業に必要な運転資金以外にお金が使われている」ことになります。そこで、「B/S」の改善としては、その該当する「科目」にターゲットを置いていくのです。つまり、「お金」の通り道の改善を行うといった表現になりますね。
次回は、各科目の改善への着眼点についてお話をさせて頂きます。
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徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主催
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
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